住所 | 白老町大町2-3-10 |
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電話 | 0144-82-3003 |
OPEN | 9:00~18:00 |
CLOSE | 日曜日 |

はじめて白老駅を降りたとき。
白老の商店街を進んですぐに、その喫茶店はありました。


なんかレトロで、味わい深い佇まいだなあ…。
店内を見ていると、奥のカウンターからやって来たのは…
白いエプロンのニッコリした女性。

いらっしゃ〜い。
この方が相吉京子(あいよし きょうこ)さんでした。
店内を見渡すと、どこにも直線がありません。
機械でつくった跡がひとつもないし、プラスチックも見えません。

素敵なインテリアですね!
あの、まさか、壁の漆喰も、柱も、ニポポ(アイヌこけし)も、扉も、ご自分で作っているんですか…!?

ああ、これは、うちの主人が作ったのよ。
イスも、机も、カウンターもね。


その人が、天才的な木彫り師でカフェ店主の相吉 正亮(まさあき)さんです。
目次
マサアキさんとニポポ

マサアキさんは、白老生まれ。
東京の大学に入り、妻となるキョウコさんに出会います。
マサアキさんは東京でサラリーマンになりますが、Uターンして白老に戻ることを決意。

それで、この人に無理矢理、白老に連れてこられてさ…

いやいや、この人が勝手についてきたんだよ。
1975年頃、キョウコさんとマサアキさんは、白老で暮らし始めました。
当時は、ウポポイの前身のポロトコタンが全盛期。
しかし、その裏の林は荒れ放題でした。
その林を営林署で「国営の自然休養林にしよう」という話が出た時、マサアキさんが看板作りを頼まれました。

それで、喫茶店を開くことになったとき、休養林ができたことを記念して、「喫茶休養林」という名前をつけたのよ。


休養林は、お店全体がマサアキさんの作品。
一歩足を踏み入れれば、そこは作品の中の世界です。
お店の内装は、「喫茶とインテリアII」という本でも紹介されています。

お店の天井に銛!?


2015年、ウポポイの前身のポロトコタンで、シリカㇷ゚(カジキマグロ)を送る儀式をやったんだけど…
その時に僕が作ったのが、このキテ・ループタイなんだよ。
昔は、この銛を船に乗せて海にこぎ出し、カジキマグロを仕留めたんだって。


この尖ってるので、ブスッと刺すんですか?

そうそう。
銛の先端部分が、皮膚の中で回転して、抜けなくなるんだよね。

12年通ったアイヌ語教室

奥さんのキョウコさんは、東京育ち。
それが急に白老町のポロトコタンのそばで、喫茶店を経営することになりました。
開店は1979年、世界各国から博物館に観光客が来ていた時です。
カレー20人前注文!など、忙しい日々を送っていました。
ある日、沖縄の観光客がキョウコさんに聞きました。

アイヌ民族は、どんな服を着てるの?
何を食べて、どこで暮らしているの?

私はわかりません。博物館の人に聞いてください。
観光客は、不満そうに帰っていきました。
「わからない」と答えたキョウコさんは、それを悔しく思います。
そして、博物館に通って、勉強を始めたのです。
ある日、娘さんの友達に…

おばさん、一緒にアイヌ語教室に行こうよ!

えっ、いいけど…。
キョウコさんは、ウタリ協会のアイヌ語教室に通い始めます。
先生は、松永タケさん、野本亀男さん、岡田路明さんです。
最初の講座のたけフッチ(おばあさん)の第一声は、
わたしゃ、わからん。みーんな忘れちまった。

あらあら、大丈夫かしら…?
とキョウコさんは不安になりますが、
第2回目の講座では、
思い出してきた。
と、フッチは話し始めます。
亀男エカシ(おじいさん)の方は、気さくにお話をしてくれました。
キョウコさんは教室が閉鎖されるまで、12年通いました。
思い出深いのは、教室のメンバーで参加した苫小牧市民会館でのウタリ文化祭。
トランネヘカチ(怠け者の少年)という劇で、フッチ役を大須賀るえ子さんと一緒に演じました。
時代を先取り!地元民のコミュニティ・カフェ

歌声喫茶は、第2第4土曜日の13時から、長いことやってるのよ。

町内のグループホームに、出前歌声喫茶をしたこともあったね。
マサアキさんがコーヒーを淹れて、入所者さんが歌う、楽しいイベントでした。

それに、キョウコさんが30年以上参加しているサークル「白老ペン」。
毎月、休養林に集まってコーヒーを飲みながら楽しくおしゃべり。


最初は場所を貸してるだけだったんだけど、私も会員になっちゃった。
随想、随筆、短歌、俳句、論考を書いて同人誌「白老ペン」を発行しています。

他にも、コンサートや詩の朗読会など、たくさんのイベントが開かれています。
ポロトコタンの観光客が減り、周りの喫茶店がどんどん閉店するなか、今も続いている休養林。
それは、地元の人たちに愛される場所だから。

喫茶休養林は、カレーとコーヒーが美味しいだけではありません。

店主がつくった木彫り作品を鑑賞できます。
歌声喫茶もあります。
同人誌も発行しています。
時代を先駆けた、白老の歴史あるコミュニティ・カフェに、ぜひ遊びに来てくださいね!
おまけ
ヨコスト湿原の入り口にある2つの看板も、マサアキさんが作ったものです。


[…] ある日、喫茶休養林で、お茶を飲みながら… […]
[…] しかし、アイヌ語教室に通い初め、松永タケフッチや野本亀男エカシに師事。 […]
[…] しかし、50歳になってアイヌ語教室に通い初め、松永タケ媼や野本亀男翁に師事。 […]
[…] この看板は、喫茶休養林の店主が作った作品です。 […]
[…] しかし、50歳になってアイヌ語教室に通い初め、松永タケ媼や野本亀男翁に師事。 […]
[…] しかし、50歳になってアイヌ語教室に通い初め、松永タケ媼や野本亀男翁に師事。 […]