吉国さんに初めてお会いしたのは、刺繍講座の講師としてでした。
とてもファッショナブルで、素敵な先生だなぁ。
ちょっと近寄りがたいかも…?
でも、教え方はすごくやさしく、厳しさがありませんでした。
すごい上手よ!
とほめてくれるし、静かだけど温かい先生で、一緒に教えていた助手の河岸洋美さんのにぎやかな声に、優しく微笑んでいる姿が印象的でした。
でも、お話をしてみると色んなことを教えてくれて、すごく情熱的な方だと思いました。
まずは、刺繍との出会いから聞いてみましょう!
目次
刺繍との出会い
15歳の時、吉国さんは白老の製紙会社に就職しました。
その後、建築関係の仕事につき、58歳で退職するまで、30年間働きました。
働いてるときは、男性と同じように土方の仕事もしたのよ。
そうなんですか!刺繍は、ずっと好きだったんですか?
刺繍に限らず、家の中でできることが好きだったのね。
子供の頃は喘息持ちで、体が弱かったのよ。
だから、座ってできる編み物などの手仕事が好きだったの。
刺繍との出会いは40代の頃、1995年頃にウタリ協会(現在のアイヌ協会)の婦人部で着物を縫ったときです。
その時は、故・林としこ先生という和裁の先生が教えてくれました。
現在69歳ですが、それからの25年間ほど、短期の講座などに通いながら、ずっと刺繍に関わり続けてきました。
2000年頃には、旧アイヌ民族博物館で行われた伝統工芸複製の事業に参加しました。
複製は旧アイヌ民族博物館の体験館を利用し、選抜された22名の参加者が3年間に渡って行いました。
吉国さんは、一年ほどで3枚の着物を仕上げました。
2014年には河岸洋美さんと一緒に白老から札幌へ、北海道アイヌ協会の研修に通いました。
先生は宮田初江先生でした。
同じ部屋に津田命子先生もいらして、いろいろ教えていただきました。
札幌まで通うのは、きっと大変でしたよね。
仕事や家事育児と両立しながら刺繍をするのは、大変じゃなかったですか?
寝る暇もなくて、大晦日に縫い物をしていたら、主人に怒られたこともあったわ。笑
今では、刺繍をするのはもっぱら早朝の時間帯。
早いときは朝3時半から縫い物をしてるの。
誰にも邪魔されない、静かな時間に集中して刺繍をするのが好きなのよ。
受賞歴
そんな努力とセンスの良さで素晴らしい作品を作り続けている吉国さんは、道アイヌ協会の北海道工芸作品展で多くの賞を受賞しています。
2014年 北海道アイヌ伝統工芸展 一般部門 最優秀賞(タペストリー)
2017年 北海道アイヌ伝統工芸展 一般部門 奨励賞(ショルダーバッグ)
2018年 北海道アイヌ伝統工芸展 伝統工芸部門 奨励賞(ルウンペ)
2019年 北海道アイヌ伝統工芸展 伝統工芸部門 奨励賞(ルウンペ)
2020年 北海道アイヌ伝統工芸展 一般部門 優秀賞(キナ編みの手提げバッグ)
2021年 北海道アイヌ伝統工芸展 伝統工芸部門 奨励賞(ルウンペ)
あと一回、優秀賞を受賞すれば、道アイヌ協会の優秀工芸師に認定されるんです。
それが、今後の目標です。
刺繍の講師
2019年から2021年、北海道教育委員会主催のアイヌ民族技術伝承講座で3年間講師を勤めました。
2022年度には、公益財団法人アイヌ民族文化財団主催のアイヌ実践上級講座を担当しました。
商品
吉国さんは、アイヌ刺繍のバッグやタペストリー、スマホケースなどを販売しています。
持っていると上品で可愛く見える小物ばかりで、吉国さん自身もとてもファッショナブルな作家さんです。
商品は「ウポポイ」、お土産カフェ「ラナピリカ」、白老の商店街にある「田辺米穀店」で買えます。
白老のホテル「海の別邸ふる川」のスイートルームでは、吉国さんの作ったアイヌ刺繍のフットスローが使われているお部屋があります。
料理への情熱
吉国さんは、白老の地域食堂「グランマ」で一週間に2回働いています。
白老での新しい出会いを求めて、2022年に働き始めました。
料理を作るお母さんたちは、本当に何を作っても美味しいの!
吉国さんの料理も、とっても美味しいです❗️
チェㇷ゚祭では、いつも料理に腕を振るってきたんですよ。
その他のアイヌ文化活動
(一社)白老モシリでは2014年頃から現在まで約8年勤めてきて、山でアイヌ有用植物の育成や、アイヌ文化体験イベントでの講師をしてきました。
吉国さんって、刺繍の先生だと思っていたら、レストランの厨房にもいるし、山にもいらっしゃるんですよね…。
先生の時はとってもエレガントなのですが、作業している時は、可愛い作業着姿です。
初めは、そのギャップに本当に驚きました。笑
展示
2016年に白老イオル事務所「チキサニ」で河岸ひろみさんと一緒に展示をしました。
そのほか、白老アイヌ協会事務所「ノㇱキ」、アイヌカフェ「ピラサレ」などでもグループ展を行っています。
[…] 詳しくは吉国幸子 さんのページをご覧ください。 […]