河岸洋美さん

私が河岸洋美さんと出会ったのは、アイヌ刺繍講座の先生としてでした。

アイナ
アイナ

すごく絵を描くのが上手な先生だと思ったのを覚えています。

河岸洋美さん
河岸洋美さん

作り物やアイヌ文様のデザインをするのは好きですよ。

でも、ボタン付けもできないくらい、縫い物は大嫌いだったの!

アイナ
アイナ

ええっ!? ウソですよね!?

こんなに下絵も精巧で、デザインも洗練されてるのに…。

河岸洋美さん
河岸洋美さん

ほんとほんと。

だから、自分が刺繍できるなんて、思ってなかったの。

でもね、旧アイヌ民族博物館で刺繍を眺めては、綺麗だなぁと思ってはいたの。

アイナ
アイナ

へえ〜。

洋美さんがどうやってアイヌ刺繍を始めたか、聞いてみたいです!

刺繍との出会い

河岸洋美さんの刺繍作品

初めてアイヌ刺繍を習ったのは、職業訓練で林としこ先生に教わったときのこと。

その後、働いて子育てをしながら、いくつかの短期の刺繍講座に参加しました。

若い頃は、刺繍サークルに通ったりする時間がなかったのです。

ところが30代の時、3ヶ月の職業訓練で刺繍を習った後、旧アイヌ民族博物館の複製事業があることを知ります。

河岸さんは思い切って仕事を辞めて事業に応募しました。

河岸洋美さん
河岸洋美さん

本当は、応募条件に「着物を5枚以上縫った経験がある人」とか条件があったんだけど…。

私は、1枚も縫ったことがなかったの。

だけど、半纏やテーブルセンターは作ったことがあったから、作品を全部持って、

「仕事も辞めました!」って面接に行って、採用されたの。

アイナ
アイナ

すごい!思い切って、アイヌ刺繍の世界に飛び込んだんですね!

河岸洋美さん
河岸洋美さん

そこで河岸麗子さんに教わりながら、古い着物を針目の数まで忠実に再現したことは、とても良い経験になりました。

でも、経済的な問題で、2年後には複製の仕事はやめて、別の仕事に復帰したんだけどね。

アイナ
アイナ

その後は、またいろんな講座に参加しながら、技術を磨いてきたんですよね。

習うときは、講座で教わる作品と同じものを家でも作るので、いつも2つ作ってると聞いて、驚きました!

河岸洋美さん
河岸洋美さん

「そうしないと、覚えない」って先生に言われたのを、ずっと守ってるの。

アイナ
アイナ

すごく努力家なんですね…。

私なんて、1つの作品でもついていけないことがほとんどです。

刺繍は、時間がかかりますから…。

河岸洋美さん
河岸洋美さん

私は、子育ても仕事もあったから、短期の講座しか参加できなかったんだけどね。

ただその分、色んな先生に教わることはできたの。

そして、色んな先生に習うことで、自分の刺繍も変わってきたの。

昔は、左右対称で針目も細かくなければ嫌だったんだけど…。

最近は、昔ながらの絵の描き方やデザインの方法を学ぶことで、素朴な表現も好きになってきたの!

そんな河岸さんは現在では、コンテストなどで素晴らしい賞を多数受賞しています。

受賞歴

最優秀賞を受賞したタペストリーの一部

2016年 伝統工芸品部門 優秀賞(かでる賞)ルウンペ(木綿衣)

2017年 伝統工芸品部門 奨励賞 ルウンペ(木綿衣)

2020年 一般工芸品部門 最優秀賞(北海道知事賞)タペストリー

革工芸との出会い

河岸洋美さんが革細工を施し、バッグの仕立てと肩紐は友人の作家とコラボレーションした作品

革工芸に初めて出会ったのは、30年ほど前のこと。

アイヌ協会の職業訓練で3ヶ月間、革工芸を白老在住の塙(はなわ)先生に習ったのです。

その後、講座に参加したメンバーが立ち上げた革工芸サークルを1年間続けました。

しかし、子育て中の河岸さんにとって、夜6時から始まるサークルに参加するのは負担となり、続けることができず、独学で革工芸の制作を続けていました。

河岸洋美さん
河岸洋美さん

でもね、白老に星野リゾートホテル「界ポロト」ができた時、その30年前の作品が担当の方の目にとまったのね。

「まさか」とは思ったけど、とてもありがたい話なので、作品を作ることにしました。

アイナ
アイナ

それで、また革工芸の作品を作るようになったんですね!

河岸洋美さん
河岸洋美さん

でもブランクがあるから、改めて革工芸の新しい技術とか磨きの技法とか、革の性質を勉強し直してるの。

今は、白老の折内先生と苫小牧 Mikos Smile の大山先生にご指導いただいてます。

河岸洋美さんの作品の数々
河岸洋美さん
河岸洋美さん

しかもね、界ポロトの作品を見たウポポイの職員さんが、「ウポポイに置く商品として、何か革工芸の作品を作ってはどうだろうか?」と提案してくれたの。

だから今、ウポポイではの革のブローチと、額入りの刺繍作品を置かせていただいてます。

ウポポイで販売している革のブローチ

アイヌ協会での活動

昔はウタリ協会と呼ばれていた協会で、河岸さんは婦人部の中で忙しく活動してきました。

若い人が少なかったこともあり、イベントの手伝いも積極的に行いました。

河岸洋美さん
河岸洋美さん

今は9月のチェㇷ゚祭も1日だけだけど、昔は2日間あって、参加者みんなで踊ったものだったの。

婦人部総会があったりするときも、一風呂浴びた後にみんなで楽しく踊ってたのよ。

若い時から、ずっとアイヌ協会の活動にも関わってきたんですね。

アイヌ文化に造詣が深いからこそ、いろんな素材で、素晴らしい作品が作れるんですね!

展示歴

ウポポイでの展示の様子

チキサニで吉国幸子さんと一緒に二人展「コテンコテン」を行いました。

一人なら個展なので、二人で個展x個展 という可愛いネーミングです。

そのほか、2022年にウポポイでの展示販売、白老アイヌ協会事務所「ノㇱキ」、かふぇ「ピラサレ」などでもグループ展を行っています。

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